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11月17日/十二国記新刊感想など

ホームページ作成からあっという間にひと月経ってました。

書きたいと思うことほど、生活や仕事の内容に密接に結びついていることが多くて難しい。。

なのでとりあえず、待ちに待った十二国記新刊の感想とか、シリーズにまつわる思い出話など書いてみます。(もしかしたらネタバレや考察を少し含むかもしれません。未読の方お気を付けください。)

十二国の世界に出会ったのは、忘れもしない十二歳のとき。

その頃の私は田舎の田んぼに囲まれた家に住んでいて、楽しみといえば徒歩五分ほどの場所にある国道沿いの本屋さんに行くことくらいでした。

本屋さんではティーンズハートという今はなき女子中学生向けレーベル(ピンク色の表紙で統一されてました)の小説をよく買っていたので、その日もティーンズハート文庫の棚へ行き、表紙をいろいろ物色・・・。

そのとき、ふと目に留まった(表紙と目が合ったと言った方が正しいかも)目力のある美少女。

中華風の華麗な服装に、不思議な髪形で勝気そうに微笑む、一体この子は誰なんだろう、と手に取ったのが、当時ホワイトハート文庫から出ていた図南の翼だったのです。

手に取ってその本がいつものティーンズハートじゃなく、もう少しお姉さん向けのホワイトハートだったことに気づいたものの、あらすじの「主人公は十二歳の少女、珠晶」という一文に、十二歳が主人公なら私が読んでもいいよね!?と喜んでレジへ。

(補足:十二国記は少女向け小説レーベルから始まったというのは十二国記の紹介にも書かれていますが、十二国記シリーズの出ていたホワイトハートというレーベルはティーンズハートのお姉さんレーベルという位置づけで、書店ではよく隣同士に並べられていました。)

図南の翼を読んだあとは、もう推して知るべしというか、十二国の世界に引き込まれて他の作品も一気に読み、読むほどに好きになって、今に至ります。読むたびにはっと目を見開くような衝撃がありました。名言の多いこともよく紹介されていますが、私も物の考え方にたくさん影響を受けていると思います。(人生変えられたと言っても過言ではないかも。)

十二国記は一つ一つの物語が少女向けにしては長く、文章も子供向けの易しいものではなかったし、漢字の使い方も独特で、十二歳が読むには結構難しかったのですが、それでもこの物語がおそろしく面白いということは読み始めてすぐに分かったので、頑張って読みました。(途中で出てくる『彼』に、『誰?』ってなってしまったのは、後から思うと残念ですが・・・! あと、最後の『十二国記』としての歴史書の部分は、初めて読んだ当時、これは何? どうしてここに書いてあるの? 状態でした。)

そうやって十二国記大好きになった私ですが、それでも当時、魔性の子だけは読んでいませんでした。ホワイトハートに入っていなかったので知らなかったんですよね。

魔性の子をちゃんと読んだのは、出版社が移ってシリーズが整理されてから。

そこで、ラストの広瀬先生に涙し・・・。

(そのうえで今回の新刊の3巻ですよ!? 高里にとって先生がいたことにちゃんと意味があったし、彼は先生のことをちゃんと考えていたんだなあと、本当に、胸が熱くなりました。)

話が急に先へ飛んでしまいましたが、今回、18年ぶりの戴のお話が読めて本当にうれしかったです。(しかも4分冊というボリュームで!)

戴にかかわるお話は、いちばん世界の核心部分に近づく展開が多くてはらはらします。

その分ミステリー(サスペンス)色、ホラー色が強くて、小野先生の持ち味が存分に発揮されている感じ。

新刊を読んで、私は徹底的に叩きのめされたのですが(民はもちろん王も麒麟も、非情な「天」とかいうやつに振り回され、最終的に「天」の奇蹟でしか物語にハッピーエンドは訪れないことが明示される)、その中でも、本当に僅かだけれど、「人」が積み重ねたもので「人」が救われる部分もあるわけで。

小野先生の描いたこの大きな大きな物語は、圧倒的な暗さの中で、それでも確かにそこにある希望、どんなに僅かでも光と言えるものは何かを、安易な気休めなんかじゃない確かなものとして、読者に教えてくれたと思います。

(登場人物が多い、冗長で中身が薄い、という批判も目にしましたが、個人的には、すべてあの物語に必要な人たちであり、部分(パーツ)、文章だったと思います。

「その戦いで兵はその数を減らした」という一文で片付けられる、失われたひとりひとりの兵士の「顔」、「土匪に襲われて、村人は全滅した」という一文で片付けられる村人のひとりひとりの「顔」、それが、予め紹介されて私たちに親しいものになった上でその死が犠牲として意識されたとき、私たちは初めてその犠牲を自分のものとして感じられること。

誰からの視点で語られる物語なのかで、物語はその様相を変えること。

「絶対に正しいこと」なんてない世界で、それでも信じられる明るい方向はどこか。

そういう、結論だけ、言葉だけでは意識の上辺を滑っていってしまう種類のものを、物語を読むことを通じて「経験」させてもらった、と個人的には思いました。)

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